従来使用されてきた通常のマルチフイルムは、以前は塩ビが使われていましたが、作物収穫後回収して焼却した場合に、毒性の強いダイオキシンを発生する事から、ポリエチレン或いはポリプロピレンが使われるように変わりました。
最近地球温暖化の影響が気象や生物や作物の生育分布等いろいろな面で人類に悪影響を及ぼしており、その対策として化石燃料の減少や石油系プラスチックの抑制が言われています。
又、プラスチックは分解しづらいため、自然界に排出された使用済みプラスチックは微粒子状になって、いわゆるマイクロプラスチックとして海に集中し、魚他の海の生物に取り込まれ、その生育を阻害しています。
農業用マルチフイルムも例外ではなく、回収しきれなかったものは、細かくなり風に飛ばされいつか川に流され又は直接海へたどり着きマイクロプラスチックとなります。土壌中に残留したものは次の作物の生育を妨げる事となります。
又、最近は農業従事者の高齢化が進み作物収穫後のマルチフイルムの回収が場合によっては大変な重荷となっています。
以上の状況を背景として、使用後は回収する必要が無くそのまま土に耕しこめば土壌中の微生物により分解され最終的に水と炭酸ガスになってしまう、いわゆる生分解マルチフイルムが開発されその使用が、農家に呼び掛けられています。
しかしながら、これまでの生分解性マルチフイルムは十分生分解しなかったり、強度が弱くマルチ張り機械に掛けられなかったり、価格が非常に高かったり農家の皆様に広く使って頂くには問題がありました。
この度中国の先進的国際貿易会社である安徽遠朋国際貿易有限公司は、中国の生分解プラスチックメーカー及びマルチフイルム製造関係メーカーと協力し、日本向けの生分解性マルチフイルムを開発しましたので、ご紹介いたします。
なお、日本での販売につきましては、中国たばこの日本専売権を有する太豊通商株式会社様他の商社様にて実施致しますので宜しくお願い申し上げます。
マルチ敷き済
出てきた野菜
〇 使用後に畑から回収する必要が無く、回収に要する大きな労力と時間が節約できます。
トウモロコシ等の作物は茎近くの根が大きくしっかり張るので、その収穫後マルチを回収する作業は大変な重労働であり、時間もかかります。
しかし、ランドパルマルチを使用した場合、収穫後そのまま耕せば分解し消滅するので回収の必要がなくで労力と時間を節約できます。
〇 廃棄物処理費用が掛かりません。
これまでのマルチは回収したものは廃棄物として処分する必要があり、処分費用が必要でしたがランドパルマルチを使用すれば、そもそも廃棄物が発生しないのでその必要がありません。
〇 回収もれマルチによる畑の劣化、作物の収量低下はありません。
これまでのマルチは回収漏れしたものはそのまま畑にいつまでも残り、次の作物の生育を阻害し収量が低下しますが、ランドパルマルチを使用すれば残留したものは土壌へ耕し込むことにより、間もなく水と炭酸ガスに分解され完全に消失するので、次の作物への悪影響はありません。
〇 回収もれマルチフイルムによる環境汚染はありません。
これまでのマルチは回収漏れしたものは何時までも分解されずそのまま残り、一部は風などにより拡散し、環境汚染を引き起こしていますが、ランドパルマルチを使用すれば間もなく完全に分解し消滅してしまうので、環境汚染の心配はありません。
本来のマルチの機能である、土壌の温度上昇・保持、雑草抑制、保水、肥料の流出防止等の効果はこれまでのマルチと変わりません。
作物収穫後のマルチ
作物収穫後のマルチ
マルチ回収のための整理
使用中のマルチ
〇 国際基準にほぼ一致している中国の国家規格に基づいています。
日本では生分解マルチのJISはまだありませんが、中国ではGB/T35795-2017という国家規格で品質を規定しており、ランドパルマルチの規格に基づいています。
その規格では、寸法および重量のバラつき、外観(汚れ、シワ、巻き状態等)、力学的性能(引っ張り強さ、引き裂き強さ等)、土中の水蒸気透過度合い、含有する有害重金属の量(ISOなど国際規格と同一)、生分解度合いが規定されています。
〇 ランドパルマルチそのものの寸法や巻き芯紙管の仕様などは日本の機械に合うように製造されているので、日本のこれまでのマルチに使っておられた機械をそのまま使用できます。
マルチ貼り付け機械
生分解マルチの張り付け
生分解マルチの張り付け
生分解マルチの使用
生分解マルチの使用
中国マルチと日本マルチの試験対比
貯蔵に当たっては清掃、整理整頓された涼しい乾燥室内(望ましくは20~25℃)で整然と堆積し、外圧による変形や破損が無い様にして下さい。紙管の端部の破損には特に注意して下さい。
製造日に注意し、出来るだけ6ケ月以内に使う様にして下さい。
鋭利な物との接触や地面を引きずる事の無い様にして下さい。
土地は細かく耕し、鋭利な物や突起物が無い様にして下さい。
生分解しないマルチに比べると引っ張り強さや引き裂き強さは若干弱いのでご注意ください。(マルチ張り機のテンションを緩めにしたり、注油手入れを良くしスムーズに作動するようにしてください)
農薬や腐食物との接触はできるだけ避けて下さい。
使い切る前に紙管に1mm程度の厚さ(10m程の長さ)を残して保管しておいて下さい。(異常があった時にチェックするためのサンプルとします)
土壌中のバクテリアなどで分解しますので、2重にしたり折り畳んだり土との接触が出来ない使い方はしないで下さい。(その部分の分解が遅くなります)
ランドパルマルチの使用にあたっての考え方
生分解マルチは特殊な原料を使用し、製造条件も異なるので、生分解しないものに比べると価格が高くなります。すべての作物に切り替える事が困難であるとお考えの場合は、トウモロコシやスイカ等収穫後マルチを取り外すことが困難な一部の作物から切り替え、その総合的な効果を先ずご確認下さい。
機械で収穫される場合は、事前にマルチを取り外す必要がありますが、ランドパルマルチを使用すればその必要がなく、その分の人件費が節約でき、総合的に考えばコストが下がります。
ニンジンやレタスの様に、生育したものから出荷し生育の遅れたものの生育を待って何回も畑を往復し、マルチの上から踏み固める場合はその回収が困難なので生分解マルチを使用する事をお勧めいたします。
寸法
幅: 950mm
長さ: 200m
厚さ: 0.018mm
1巻の重量:4.7Kg ± 0.1Kg
製造後保存可能期間
保存条件によりますが 1年を越えないようにして下さい。
有効使用期間
畑に張った後マルチとして作用する期間は気候や土壌によりますが、2~3ケ月。それ以降は生分解が進みます。
ランドパルマルチの種類
色
黒、白
厚さ
最小厚さ0.004mm迄製造可能(厚さにより分解期間が変わります)
有効使用期間(分解開始までの期間)
1ケ月以下、2~3ケ月、3~4ケ月、4ケ月以上
ランドパルマルチは品質管理に努めています
原料受け入れ検査
基本原料であるPBAT及びPLAはISO等国際規格の認定メーカーのものを使用し、且つ受け入れ検査を実施しています。
製造工程中の管理
原料計量、温度管理等は熟練作業者が行い、フイルム厚さ管理は成形温度押出圧力押出スリット幅を調整し、所定の厚さで安定する事の確認等作業標準を定め、目視での常時観察も行っています。
製品検査
厚さ、幅、1本あたりの重量、外観、引っ張り強さ、引き裂き強さ、熱変形などの検査を行っております。中國国家規格に基づく試験要領(サンプル抽出、試験方法、合否判定)で実施しています。
PBAT(生分解樹脂)
PLA(生分解樹脂)
無機質微粉
顔料
精密ミキサー使用
加熱加圧し空気を入れ、
大きな連続 円筒を作成
冷風で冷却し、円筒をつぶし 帯状にする
帯の両端を切断し
2枚の連続フイル
ムにする
紙管に巻き付ける
吸湿防止の為
1本ずつ厚手の
ポリ筒で包む
工場内部
製造工程での目視検査
引張試験機
熱変形測定機
密度測定装置